こんにちは、かわきせ日記帳の木村です。
サント・ノーレに引き続き、アカデミアとセント・オブ・ウーマン、バルニのバラもきれいに咲いております。あとは河本バラ園のミエル・ドゥ・フォレが咲いてくれれば……ボール化しやすい種類だそうで、なかなか開いてくれないのでヤキモキしております。そういえば今年はやっと柑橘系も花をつけてくれてうれしいです。移植した甲斐がありました。
■ご長寿ねこちゃんが増えるとペット保険も増えるのが世の常
人間界ではハイシニアの方の年齢をタイトルにいれたエッセイが競うように出版されていますが、Instagramなどを見ているとペット界でも有名なご長寿さんが増えているようです。先日フォトエッセイ集が出た「村上家の長女みけ」ちゃん(@happy_cat222)は25歳6カ月。人に換算するとなんと116歳。弟のピースくんは13歳、パレオくんも12歳だそうで、本当に延びているのだなあ……と感じます。ちなみにわたしが大好きなマンガ『黒猫ろんと暮らしたら』のろんさんも今年遂に10歳の大台に乗ったそうで、動物病院で生後半年のろんさんと出会った話を知っているだけに、ただの読者なのになんだか親戚の子の成長を見ているような不思議な感激があります。
長寿ペットが増えたと感じるのも無理はありません。ある日の日経新聞には「犬の平均寿命は14.76歳、猫は同15.62歳でほぼ右肩上がり。理由は食生活の変化や医療の進歩によるもので、7歳以上とされる高齢期の割合は犬が54.3%、猫は43.5%に上る」(ペットフード協会の2022年調査より)との記載が。私自身はこれらの理由に加え、完全室内飼いが一般化して事故死や自然死が減ったことも大きい気がしています。当然老後も長くなるので、病院に通う機会や医療費が増えるのは自然です。ただし人と違うのは、動物病院はすべてが自費診療であること。犬は特に心臓、猫は腎臓を患う率が高いそうで、入院や手術になると15万円ほどかかることもあるそうです。
そのためか、この数年でペット保険の選択肢もずいぶん増えました。アニコムでは「どうぶつ健保ふぁみりぃ」の加入は7歳11カ月までですが、「どうぶつ健保しにあ」は8歳以上から加入できます。年齢に上限がないことと、入院・手術に限定することで保険料を抑えているのがポイントです。アイペット損害保険の「うちの子」は新規の加入上限が12歳11カ月と高いだけでなく、通院・入院・手術をフルカバーしてくれます。また21年から犬は12歳、猫は9歳から保険料を下げて定額化され、より加入・継続しやすい料金となっています。ペットメディカルサポートの「PS保険」は、加入上限は8歳11カ月ではあるものの、3年に1回と保険料の引き上げが緩やかで、犬猫ともに特約なしなら12歳以降は定額になり、リーズナブルに続けることができます。保険を選ぶ時に「持病があると加入できない」ことや「長期間加入した場合の保険料負担を考えること」が大事なのは人間と同じです。
■遺言書にはペットについても記しておくのが飼い主の責任
人とペットの間にある一つの違いは、自分が先に死んだら誰がお世話してくれるのかという問題。そこでわたしが興味をもったのは、2023年4月に発売されたSBIプリズム少額短期保険「プリズムペット」。入院・手術・通院の100%支払い(補償限度額、限度日数あり)に加え、「飼育費用補償特約」が自動的についてきます。飼育費用補償特約とは、飼い主の死亡時などに、あらかじめ決めておいたペット保護譲渡団体などへの譲り渡し費用として50万円を上限に支払う制度です。事実、契約者もかなり増えているそうで、家族の行く末として考える人の多さが伺えます。
遺言書を書く際の手順には入れませんでしたが、おひとりさまでペットを飼っておられる場合、特に気になるのが「自分がいなくなってから誰に見てもらうか」問題ではないでしょうか。自らの入院や施設入所、死亡時などに引き取ってきちんと飼育してもらえるよう、信頼の置ける犬や猫好きの友人や親戚縁者に依頼しておきたいものです。その際は、先方にも引き受けてもらいやすくなるよう、ある程度飼育にかかる費用を準備しておくといいでしょう。また、そういう親戚や知人が見つからないという人には、終生飼育活動に取り組む団体に依頼するという方法もあります。
「エンジェルズハウス」http://angels2005.org/angelhouse/
「特定非営利活動法人 動物愛護団体 ANGELS」が滋賀で運営する老犬ホーム。犬だけでなく猫も医療費等全て含んだ終身一括契約が可能です。
「一般社団法人 猫の森」https://www.neconomori.com/syadanhoujin
「終生飼養サポート」制度があり、弁護士へのペット信託の相談もできます。
「一般社団法人グラビューハート」https://save-lives.grabeau-heart.group/
高齢会員の孤独死防止の見回りを行うことでペットの道連れを防ぎ、飼い主に入院などが必要であればペットの保護、里親探しなどに対応していく制度です。
「PANF(ペット安心ネットワークファミーユクラブ)」https://www.npo-famille.org/?course=panf
名古屋市で老犬老猫シェルターの運営や老犬・老猫の終生飼育活動を行うNPO法人「ファミーユ」の会員制プログラムです。飼い主の入院や施設入所、死亡などの際にペットを守ってくれます。
「ペット後見互助会とものわ」https://human-animal.jp/actions/pet-kouken
「人と動物の共生センター」が運営する、「これから入院したり病気になって世話ができなくなったら」という人の入院や死亡など万が一に備えるための互助会制度です。
「NPO法人 CON」http://cat-operation.net/wp/business-information/
「高齢者とペットの安心プロジェクト」は、現状では相談窓口や相談会の開催のみですが、ペットを独りぼっちにしないための対策や対応などのヒントがもらえるかもしれません。
時間があれば「ペットのおうち」(https://www.pet-home.jp/)などの里親募集情報サイトの利用をしてもいいでしょう。ただし、相手とのやり取りは自己責任のため、入院や入所直前などの時間がない時やデジタルツールが得意ではないと難しいかもしれません。とはいえNPO団体などの法人も多数参加しているサイトなので、時間と状況を見ながら活用してみてください。
■「一年約30万の費用は高くない」と今さら気づく
ちなみに、こうした終生飼育活動のついて考える時、入会金リストだけを見ると、たとえば「ねこ1匹で1年30万円」などとあったりして「こんなにかかるの!?」と感じる方もおられると思います。そういえば、うちのくろ相談役は今3歳ですが、この丸2年でどれくらいのお金がかかっているんだろう、と思ったので計算してみました。
●食費:1,260+3,450+1,140=5,940円 5,940×12=計71,280円
銀のスプーン(総合栄養食):50g(25g×2回)/日→お徳用1.5kg袋=30日分→1袋/月=1,260円
シーバデュオ(一般食):1袋20g /日→30袋/月→3箱(1箱10袋入)×380円=1,140円
銀のスプーン お魚の旨みギュッと(一般食):1袋60g/日→30袋/月=30袋×115円= 3,450円
●猫砂:1,200円×4袋=計4,800円
スーパーキャット猫砂12.5L=1,200円 1,200円×4袋=4,800円
30ml×4=120=0.12L 12.5÷0.12=104.166…=104→365÷104=3.50…
●フード・水用の器:2,200+600=計2,800円
フード(猫壱)1,100円×2(ドライ用1+ウェット用1)=2,200円
水入れ(家にあった300円位?)×3=600円
●トイレ:1,800円
アイリスオーヤマ・ねこトイレ=計1,800円
●爪切り:(猫壱)1,681円×1=計1,681円
●カート&ボストン2WAY・上横オープン可タイプ=計約8,000円
●ケージ(例:90cm幅×3段180cm)=計約20,000円
●3種ワクチン接種:5,500円×3年=計16,500円
●去勢手術:計46,000円
●健康診断代(内容で幅あり)約5,000円〜1万円程度→平均7,000円
◎ICチップ代(幅あり)約5,000円〜1万円程度
2(71,280+4,800+7,000)+2,800+1,800+1,681+8,000+20,000+16,500+46,000=2×83,080+96,781=262,941 合計262,941円
上記は最低限必要な物量で費用を出しました。
くろ相談役は人に子猫の頃に譲ってもらい、かつチップ挿入が義務ではなかった頃なので、チップ代約10,000円は入っていません。また今はやめてしまったのですが、2年ほど月1,200円程度の動物保険に入っていたので、その分を足すと262,941+28,800=291,741円になります。これ以外にもケージはまだ大小2個、キャットタワーも2個あります。たくさんのおもちゃやグルーミンググッズもあるし、すべて加えたら40万弱にはなってしまうかも。小さい猫でこれなのだから、大型犬を飼っておられるみなさんはもっと費用がかかっていることでしょう。こうして計算してみると、各団体さんが設定されている金額にも納得がいきます。
くろ相談役のものは値段をほぼ意識しないで買ってしまうんだけど、実は結構な費用がかかってるのですよね。でも、彼らは言葉が話せないので飼い主の私たちが様子を汲み取らなければなりません。快適にすごしてもらうためには、十分過ぎるくらいの道具やフードや医療が欠かせないと思っています。本来は外暮らしだった猫を完全室内飼いの家族として招いたからには、最後まで看取る責任と覚悟は絶対に持ち続けなければならないのですから(ペットを飼っておられる方ならわかってもらえますよね!)。
今回はねこのお話に若干偏ってしまいました。ペットを飼っている方で遺言書の作成をお考えの方、ぜひ終生飼育制度などについても情報をお探しになってみてください。