Blogかわきせ日記帳

公正証書遺言作成の流れを見てみよう(後編)

こんにちは、かわきせ日記帳の木村です。
最近わたくし、EIZOのEV2740Xというモニタを買いました。今使っているEV2785の後継にあたる昨年発売されたモデルです。EV2785はちらつきが少なく色調が目に優しいからと友人に薦められて購入したのですが、確かに目がとても楽です。元々はMacBookの小さい画面しか見ていなかったので、物理的に目が慣れるまでは少々かかりましたけどね。文字がくっきりしているのに見え方は柔らかいとは、さすが(昔で言う)ナナオです。別に映像作品をつくるわけでも写真の色調整をするわけでもないのですが、私の場合、目の疲れや首への負荷が精神の不調に直結してしまうので、背に腹は代えられないと奮発したのでした。18年ほど前に奮発したアーロンチェアは今も使っているのでなかなかへたってきましたが、アーロンじゃなければもっとずっと早くに腰が爆発していたはずなのでアーロンさまさまです。最初にちょっと奮発したり、苦労しておくと後々楽だということでしょうか。

■公証人とともに信頼の置ける遺言書をつくる

というわけで、公正証書遺言の流れの後半です。ここからは公証人という存在が登場します。

3.公証役場で文案を検討

(1)予約する
公証役場に予約を入れると、1週間ほどで打ち合わせができます。一般的に公証人は自らが所属する法務局や地方法務局の管轄内でしか職務ができませんが、遺言者が管轄内区域の入院しているような場合は病院に出張してもらうことも可能です。また、遺言者は自らの居住地の管轄区外にある公証役場でも作成できます。滋賀在住で京都に勤務する依頼者がいた場合、京都の公証役場でも作成ができるということです(反対に公証人に京都から出向いてもらうことはできません)。

(2)打ち合わせ
公証人と公正証書遺言作成の打ち合わせを行います。公証人には次の書類を提出します。
・相続関係説明図
・文案
・1で集めた書類
・関係者(遺言者・推定相続人・受遺者・遺言執行者・証人等)情報・財産目録・付言等一覧表
打ち合わせでは、遺言者の心身状態や遺言書を残す動機・証人の候補者がいるのか否か、希望の作成日時を伝え、文案を公証人にも検討してもらいます。

約1週間でチェックの入った文案と、作成手数料の見積もりが出てきます。文案を確認し、修正点があれば公証役場に修正依頼をします。例えば、下記のような項目は特に注意して見る必要があります。
・遺言者の意志や思いは反映されているか
・自分の文案と変わっている点はあるか
・遺言者、相続人、受遺者、遺言執行者、証人の住所・氏名・生年月日
・土地や建物の記載は履歴事項全部証明書どおりか
・金融機関名や預金の種類、口座番号
・貸金庫のある銀行名や支店名

(3)公証人のチェックが入った文案を依頼者に見せる
確認が済んだ文案は必ず直に遺言者に見てもらい、問題がないかの最終確認をします。遺言者の希望が変わった場合は、行政書士による文案作成と公証人による文案の検討・修正を再度行い、遺言者に確認を取ります。

(4)文案が確定したら作成の段取りをする
・作成日時を決める
遺言者(依頼人)、公証人、証人の予定を調整する
・作成当日の持ちものを伝え、作成手順表を渡す
印鑑登録証明書は前日に行政書士が預かり、当日は実印と公証人手数料を持参してもらいます。また、当日の作成手順(4.-(1)の①〜⑧)を表にして渡しておきます。

4.作成の当日

公証役場での待ち合わせが一般的ですが、高齢の方であればご家族に送迎をお願いするか、体調の確認も兼ねてご自宅にタクシーで迎えに行きます。

(1)作成手順
①公証人が遺言者に、氏名・生年月日・住所・職業を質問する(遺言者本人の確認)
②公証人が証人2名に、氏名・生年月日・住所・職業を質問する(証人本人の確認)
③公証人が遺言者に、遺言の内容を質問する(遺言能力の有無と自らの意志で遺言を残す確認)
④公証人が遺言者・証人に遺言書を配布し読みあげる
⑤遺言者・証人が遺言書の内容が正確かを確認したのち、それぞれ署名と押印を行う(遺言者は実印、証人は職印か認印)
⑥公証人が「この証書は、民法第969条第1号ないし第4号の方式に従って作成し、同条第5号に基づき、次に署名押印する」と付記し、署名押印する。
→公正証書遺言が完成!
⑦公証役場から「正本」と「謄本」が遺言者に渡される。全員が署名押印した「原本」は公証役場に保存されます(一部例外はあるものの一般的には20年)
⑧依頼人(遺言者)が手数料を現金で支払います。

5.完成後の保管・撤回など

(1)「正本」と「謄本」の保管
一般的には、遺言執行者が「正本」、遺言者が「謄本」を保存します(公正役場は公正証書遺言を預かるだけで、遺言者が作成した事実を遺言執行者に伝えてはくれないため)。自宅金庫などでの保管が望ましいです。遺言執行者が行政書士など士業に指定されている場合は事務所で保管します。

(2)いつでもできる「撤回」
遺言者はいつでも、作成した遺言の全部または一部を撤回できます。複数の遺言書が残らないように、撤回したい時は請けおった行政書士や公証役場に連絡し、新たに公正証書遺言を作り直す旨を伝えます。

(3)業務の終了
公正証書遺言の「正本」と「謄本」、作成・収集した書類に納品リストをつけてご本人にお返しします。行政書士が遺言執行者であれば「正本」をお預かりし、そのお預かり証と「謄本」をお渡しします。これで業務は終了です。

以上、公正証書遺言の作成の流れでした。

いかがでしたか。相続推定人の相続関係説明図の作成や財産の確認、公証役場へ出向いて行う作成など、公正証書遺言になるとやはり作業も増えますが、より公的で信頼性が高いという印象も強くなりませんか。自筆証書遺言のように、ご本人が亡くなられた後の検認も必要ないため、遺言執行者の方もすぐに遺言の執行(相続)作業に取りかかることができます。ご自身にとって手軽な方法か、子どもさんたちの手間を省く方法か、という観点で比較するのもよいかもしれません。

どのような違いがあるかを知っていただくために、双方の流れをざっと記載しましたが、公正証書遺言についてはご依頼をいただいた場合は作業の大半を行政書士が行いますので、あまり考えすぎずとも大丈夫です。遺言書の作成をご検討される際は、5月9日(木)〜11日(土)「遺言書を書くにはどうすれば?」でご説明した自筆証書遺言の流れもご参考になさってみてください。

Contactお問い合わせ

まずはフォームやメールにて
お気軽にお問い合わせください。
お急ぎの場合はお電話でご連絡ください。

info@kawakise-office.com
077 (596) 3456
電話受付時間 平日10:00~18:00